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【わが道わが友】太平洋セメント会長・鮫島章男氏(4)
■セメント産業の将来に向けて
日本の人口減少を前提に、セメント産業の将来を考えたとき、セメントそのものの需要は減っていくと予測せざるを得ない。長い歴史を持つ欧州のセメント産業を見ても、「経済構造の高度化」と「人口」の2つの要素がセメント需要の増減に大きく影響している。日本も同じで、敗戦後の復興需要が経済の高度成長へとつながり、先進国の仲間入りを果たす過程でセメント需要も基本的に右肩上がりで推移してきた。それが1990(平成2)年ごろを境に減少傾向へと転じている。
社会的に存在価値がなくなった産業は消えていくしかない。かつて隆盛を誇った日本の石炭産業がひとつの例だ。社会的な役割を果たせなくなるということには、機能的に果たせないということと、コスト高で間尺が合わなくなり経済的に果たせないということの2つの側面がある。
では、日本のセメント産業が存続するためには、どうすればいいのか。セメントを供給すること以外の社会的役割として、私はまず、廃棄物処理という機能を維持していかなければならないと思う。セメント工場で廃棄物を受け入れて、原料や混合材、エネルギー源として活用する取り組みだ。たとえ、セメント需要が減少しても、廃棄物の処理量を減らさないようにしなければいけない。それには、今までにない新たな技術が絶対に必要で、技術開発の手を緩めるわけにはいかない。
一方、経済的な側面からは、国内的にも国際的にも企業の合従連衡を進めないと存続は難しいだろう。太平洋セメントは約20年前から海外事業を本格化しており、海外での生産、販売を拡大してきたが、その勢いを一段と増していくべきだ。また、中長期的に、北東アジアは政治的にも経済的にも変化があると思う。例えば、朝鮮半島の統一という懸案があるし、中国もどう変化するかわからない。先行きをある程度予測して海外事業を進めていくことも必要だ。
次代を担う社員には、会社の「信用」を大切にしてほしい。会社の信用は社員一人一人によって作られるので、一人一人が個人商店を経営しているつもりで、お客さまの期待に応え、約束をきちんと果たしていかなくてはならない。もう一つは、世界中のどこへ行っても仕事をし、生活していける「たくましさ」を身につけてほしい。海外に出ることをいとわず、どこへでも行くという気概を持ってほしいと思う。
太平洋セメントは現在、前身3社それぞれの社風のいいところだけを残して、新しい社風をはぐくんでいこうとしている。「老舗」とは古いものを頑迷に守るのではなく、次世代に残すべきことを伝えつつ、時代の流れに応じて新しいものを取り入れ、どんどん変化していける会社のことであり、そのようにしたいと願っている。

