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【主張】新世代DVD 「市場の選択」を忘れるな
新世代DVDの規格争いが決着した。東芝が「HD DVD」事業からの全面撤退を発表、この結果、新世代DVDはソニーや松下電器産業などの「ブルーレイ・ディスク(BD)」のみとなる。
HD DVDとBDは、いずれも大容量で高画質が売り物だが、両者は互換性がない。規格統一交渉も頓挫し、両陣営のメーカー各社はそれぞれの方式による機器の発売に踏み切った。
泥沼化も危惧(きぐ)された規格争いを、両方式の機器が出そろってから2年という短期間で終わらせたのが、市場=消費者の選択だったことを忘れてはならない。
人気映画など有力ソフトを抱えるハリウッド勢が次々とBD陣営に加わり、ワーナーブラザースのHD陣営からの離脱表明が、東芝撤退を決定づけたのは確かだ。その映画会社も、市場動向から「BD優位は動かない」とみたうえでの判断だった。
かつての、VTRをめぐる「VHS・ベータ戦争」は、13年間続いた。VHSの勝利が確実となったあとも、ベータを開発したソニーが自社規格にこだわって販売を続け、長期戦となったのだ。その結果、ユーザーは不便を強いられ、ソニーも打撃を受けた。
今回はこの経験が生かされ、消費者は新世代DVDそのものの購入を控えた。東芝も大幅値引きが起爆剤にならない状況をみて、自社規格への固執はマイナスと判断したのだ。
東芝はHD DVDの購入者向けに補修などアフターサービスに全力をあげるだけでなく、製造中止が見込まれる記録(録画)用ディスクについても、利用者が引き続き入手できる策をとる意向を表明した。こうした姿勢は評価できる。ほかにどんな対応が可能か、さらに知恵をしぼってほしい。
異なる規格が争うことは、必ずしも無意味ではない。互いの技術を高め、価格、使いやすさなど消費者利便の向上につながるからだ。実際にBD、HD DVDの両方式に対応した機器や記録用ディスクが開発されており、両陣営が拮抗(きっこう)していれば、これらが主流になる可能性もあった。
重要なのは、市場の流れを見極める経営判断であり、決着したあとも自社製品の購入者を大切にするという企業意識なのである。