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【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(2)羽生挑戦者「秘策」に誘導か (1/5ページ)
このニュースのトピックス:梅田望夫
先ほどアップされた「桂の佐藤棋聖、銀の羽生挑戦者」という一本目の原稿は、正直に白状すると、今日の朝4時半に起きて文章のコンポーネントを書いておき、8時40分から9時10分までの30分間の対局室の様子を観察し、控室に戻って新しい文章を一気に書き、用意しておいたコンポーネントを全体の文章の適切な位置に配置して、9時半少し前に入稿したものだ。
そして入稿してすぐ、再び対局室に入った。
ちょうど24手目、佐藤棋聖が△8五歩をつき、羽生挑戦者がその手を見て、席を立ったところだった。
ここまでわずか30余分で24手まですらすらと進んでいた将棋の動きが、ぱたと止まった。
ここから約1時間、私は対局室で2人がこんこんと考え続ける時間に、寄り添っていた。そして羽生さんが昔、私に言った言葉の意味が、はじめてわかった。
羽生さんは私に、意外なことを言ったことがあるのだ。
「実は将棋には闘争心はあまり必要ないと思っているんです。戦って相手を打ち負かそうなんて気持ちは、全然必要ないんですよ」
私は「なぜですか」と羽生さんに問うたのだが、将棋というものは、お互いに1手ずつ指すもので、1手指した瞬間に自分の選択権は無くなる、と羽生さんは答えたのだ。
「もう何もできなくなってしまう。何でもやってください、どうぞご自由にっていう感じになるんですよ。他力思考。他力本願だというのかな…」
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