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【週末読む、観る】(1)『十七歳』小林紀晴著ほか (1/5ページ)
【著者に聞きたい】小林紀晴さん
『十七歳』(NHK出版・1575円)
■自分を投影した主人公
アジアを旅する若者の肖像を写真と文章で切り取った『ASIAN JAPANESE(アジアン・ジャパニーズ)』から13年。5作目の小説となる本作は、自身の生まれ故郷・長野を舞台に、高校生活最後の1年間を描く半自伝的な恋愛物語だ。
主人公はクラスでも目立たず、早く卒業することばかりを願っている高校3年生。「優等生でも落ちこぼれでもない。何かに積極的でもなければ特別消極的でもない…そんな当時の自分の姿が投影されている」という。
普通の高校生の周囲で起こる、クラスメートとのちょっとした確執や大切な人の喪失。失意の主人公は写真との出合いを経て、将来へ一歩を踏み出す。同級生への淡い思いを縦糸に、東京へのあこがれとコンプレックス、やりたいことが見つからない焦燥感…といった地方に住む17歳の心象風景が丁寧に描かれる。
「同じように進学していく中学校までとは違い、高校を卒業すると東京へ出ていく人もいれば地元に残る人もいて、ばらばらになる。高校卒業前の1年間は誰にとっても特別なものだと思うんです」
9・11米中枢同時テロが起きたとき、ニューヨークに滞在していた。「昨日の続きが明日ではないと強く感じた」という体験は、その後の撮影姿勢にも影響を与えた。
「どこか重く暗いところを見たがっていたが、身近なものやささやかなことにも重要なものがあると思え、見た人がやさしい気持ちになれるような写真を撮り始めた。今回の装丁に使った桜の写真も、以前の自分なら絶対に撮らないものでしょうね」
現在も一人の写真家の活動を追ったノンフィクションを執筆中という。
「フィクションでも個人の体験に基づいて書かれた物語が好き。今後もそんな作品を書き続けたい」
(海老沢類)
こばやし・きせい 昭和43年、長野県生まれ。『DAYS ASIA』で日本写真協会新人賞。『写真学生』など写真集・著書多数。