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【早読み/先読み アメリカ新刊】「いったい何が起こったのかーーブッシュ・ホワイトハウスの内幕と欺瞞のワシントン・カルチャー」 (3/3ページ)
「薄汚いユダ」から「歴史的価値なし」の悪評も
読み進むうちに気づくのは、マクレランのブッシュ政権批判は極秘メモや極秘会議などに裏付けれたものでなく、いわば政策決定過程はいっさい関与させてもらわなかったという事実だ。「名前だけスポークスマン」の勤務日誌の域を出ていない。
発売当初は大々的に扱った米メディアだが、そのあとは、「歴史的な記録という面ではなんら価値のないシロモノ」(保守系『ニューヨーク・オブザーバー』)という評価が定着し始めている。とはいえ、カール・ローブやコンドリーザ・ライスらにばかにされ、ないがしろにされてきた男の生の証言だけに読み応えはある。他の元高官たちの暴露本と比べると、一味も二味も違う臨場感がある。ブッシュ大統領の息遣いが感じられる。
取り巻きの人間模様がおもしろい。「気のめいるようなことは極力避け、自分をつねにスターのように見せるライス」「痕跡を残さぬように背後で意図を操る手品師のようなチェイニー」といった人間描写。まるで夏目漱石の『坊ちゃん』に出てくる登場人物描写を彷彿させる。
それだけにブッシュ政権でともに仕えたことのある元高官たちや共和党重鎮のマクレラン批判は手厳しい。ブッシュに近い共和党の重鎮、ボブ・ドール元上院院内総務(のちに共和党大統領候補)などはマクレランを「貪欲な日和見主義者」とののしっている。かつて一緒に働いた同僚の一人、メリー・マタリン元報道官などは「薄汚いユダ」とまで言い切っている。ローブなどは「これは奴が書いたもんじゃないよ。編集者が代筆したもんだろう」とせせら笑っている。
辞める前から「史上最低の大統領」と酷評されるブッシュ大統領。元側近や元高官たちの内幕ものはマクレランの本が最後となるのかどうか。いずれライスも自らの外交の弁護を兼ねた回顧録を書くだろうし、なによりもブッシュ大統領自身、引退後、回顧録を書くための準備を始めたといった報道もある。(高濱 賛)



