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【週末読む、観る】(3)『人くい鬼モーリス』ほか (3/4ページ)
【児童書書評】『ターニング・ポイント 1』デイヴィッド・クラス著、金原瑞人訳(岩崎書店・1995円)
評・塩野米松(作家)
■謎の敵に襲われる高校生
「テストでいい点数を取るな。自由研究でAをもらおうと思うな。陸上で新記録を出すな。勝ちは喜ぶやつに譲ってやれ」
高校3年生のジャックに、両親はずっとそう言ってきた。
そのことを不満に思ってきた彼はフットボールの試合で大活躍をした。
その光景がテレビで流れた夜、事件が起きた。
父親が「本当はおまえは自分の子ではない」と言い、追いかけてきた正体不明の者たちからジャックをかばうために自分の足を撃ち砕き、「とにかく逃げろ」と命じて殺されていく。
何が起きたのか?
ジャックはもちろん、読者の僕たちも訳がわからないままに、次々と化け物のような追っ手が襲ってくる。その文体も攻撃も息が詰まるような緊迫感だ。
さまざまに現れては消えていく者たちは、謎の言葉を残していく。仲間を装った裏切り。甘い誘惑。容赦ない残虐。
頼みは188センチ、運動神経抜群の体だけ。そして浮かぶのは自分が好きだった詩の一節。危機に面してもなぜかとぼけたところのある主人公だ。その彼も恐怖のなかで、自分が誰なのか、どこから送られてきたのか、父や母がどんな役を担っていたのか知っていく。
ジャックが生きている現代は、千年後の未来から振り返れば、決定的なターニングポイントだったのだ。
環境破壊がきわまり、遺伝子組み換え、人体の改造、科学という名の暴力、自然観を全く変えてしまう人類のわがまま。未来から振り返れば「あのとき」流れを変えておればという瞬間があったのだ。それを変えることができるファイヤーストームのありかはジャックの秘められた力に。それをさせまいとする勢力との死闘が始まったのだ。壮大な3部作の1巻目。
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David Klass ニューヨーク在住。ハリウッド映画の脚本家としても活躍。