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【週末読む、観る】(2)『日本から一番遠いニッポン』ほか (1/4ページ)

2008.8.3 08:33
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 【書評】『日本から一番遠いニッポン』三山喬著(東海大学出版会・2940円)

 評・福田ますみ(ノンフィクション・ライター)

 ■南米に移住した同胞の今

 南米ボリビア、奥アマゾンの密林地帯。この秘境に、「マエダ」や「ミヤタ」といった日本名を受け継ぐ日系移民の末裔(まつえい)がいた。他の日系移民から、「土人化している」と言われた彼らの暮らしは確かに文明的な生活とは隔たりがあり、日本人の父祖を持つ痕跡も全く残っていなかった。彼らに会い複雑な思いに捉われた著者は、南米に移住した同胞たちの、百年間にわたる「同化」の物語を紡ぐべく取材の旅に出る。

 当然ながら、時代やその置かれた環境によって、現地への「同化」の過程は異なる。ペルーのある初老の2世は元闘牛士という変わった経歴だが、若い頃は日本の血が恥ずかしく、日本語も満足に覚えなかったため、闘牛士になることを親に認めさせる時、日本語のうまい神父に同席してもらわなければならなかった。

 そうかと思えば、ボリビアにある戦後できた沖縄からの集団移住地では、日本への出稼ぎや国際衛星放送の受信の影響で、若い3世の日本語の実力は2世たちのそれをしのいでいる。

 「同化」か「非同化」か。移民たちが絶えず突きつけられる普遍的な問いである。第二次大戦直後にブラジルを始めとして南米各地で起きた「勝ち組・負け組」事件は、移民の抱えるこの根源的な問題を、まさに浮き彫りにしてみせた。

 いまだにこの事件における勝ち組を、単なる頑迷固陋(ころう)な狂信者としてしか見ない風潮の中、著者は本質を深く掘り下げ、ブラジルの日系知識人にこう語らせている。「負け組の思想がブラジル社会への同化論だとすれば、勝ち組のほうは、民族の独自性を維持・継承しようとする考え方。昨今はグローバリゼーションの中、それぞれの文化的な違いを認めようという考えが主流になっている。つまり、かつて勝ち組が思い描いた方向に、世界は動いているのだと思います」

 翻ってわが国を見た時、来るべき、移民労働者の大量流入時代に備えて、送り出す側から迎え入れる側に視座を転換させる必要性をこの本は説く。

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