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【週末読む、観る】(1)『「中国の戦争」に日本は絶対巻き込まれる』ほか (1/4ページ)
【書評】『「中国の戦争」に日本は絶対巻き込まれる』平松茂雄著(徳間書店・1890円)
評・安田淳(慶応大教授)
■軍事史から国家戦略を展望
「あなたの町にも中国軍がやってくる!」。帯に記されたコピーは非常に刺激的である。だが、近未来における中国の脅威を過大にあおる薄っぺらな一般書ではない。四十数年間、著者が中国軍事を研究してきた際の、いわば素材である現代中国の戦争を改めて説き明かす歴史書である。
中国が建国以来の五十数年間、12回にも及ぶ戦争や軍事威嚇(いかく)を繰り返してきたことはあまり知られていない。著者のこの指摘に、読者は意外な驚きを感じるだろう。だがそれらを概観することで、「これは絵空ごとでも何でもない、近未来の日本の現実(リアル)である」という帯の続きの一文を十分に実感できる。そこがまさに本書が歴史書たるゆえんである。
著者は中国が、「米国に二度と侮られない国になるという国家目標を追求し、その国家目標を実現するための国家戦略を推し進める中で、目の前に現れてきた『抵抗勢力』を排除する」ために「力の行使」を繰り返してきたと説く。だが同時に著者は、中国人が好戦的な民族であると片付けるのではない。ここで論じられる「力の行使」には、中国の指導者の、さまざまな熟慮や駆け引きが施された。とりわけ、現代中国の誕生とその歩みに多大な役割を果たした毛沢東の優れた戦略的思考に対して、著者は憧憬(しょうけい)とも思える畏敬(いけい)の念を抱いているようだ。
朝鮮戦争から文化大革命に至るまでの毛沢東による「力の行使」を見れば、中国の核兵器開発を知らずして中国現代史を理解するのは不可能だとわかる。続く●(=登におおざと)小平から江沢民の時代には、海洋や宇宙への発展が図られた。したがってこれから先、覚悟すべきは「現代版中華世界」の構築という中国の国家戦略である。