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【書評】『冒険家 75歳エベレスト挑戦記』三浦雄一郎著
このニュースのトピックス:地球の頂点へ 三浦雄一郎、75歳の挑戦
■人類の可能性を広げる登頂
5月26日、75歳でエベレスト登頂に成功した冒険スキーヤー、三浦雄一郎。本書は、無謀とも思える挑戦の背景、ネパールよりリアルタイムで配信された84日間の手記、登頂に至るまでの真摯(しんし)な思いを記録した。
75歳の雄一郎は、年齢的なハンディを抱えているうえに、心臓の不整脈を患い、ヒマラヤ出発前に2度の心臓手術を受けていた。超高所で人間の肉体年齢は70歳加齢される。氏は145歳の肉体年齢で、下界の3分の1しかない酸素のなかを登る。この挑戦は、人類の可能性をも広げる究極のアンチエイジングプロジェクトとも言えるのだ。
遠征が始まると、チベット騒動による登攀(とうはん)ルートの変更、北京オリンピック聖火リレーによるエベレストの登攀規制などの問題で、ただでさえ厳しい挑戦の難易度が増す。しかし、決してあきらめない強い思いと、持ち前の前向きさで、世界最高峰に挑む。
読みどころは、デスゾーン(死の地帯)と言われる標高8000メートル付近での壮絶な登攀場面。急峻な崖(がけ)や今にも滑落しそうな氷の絶壁にとりかかるシーンは、氏の苦しい息づかいが聞こえてきそうだ。さらに、標高8200メートル地点で、次男の三浦豪太が極度の高山病により下山。雄一郎が後日、「今回最もうれしかったのは登頂したことよりも、豪太が生きて下りたこと」と話すほど。この模様を豪太自身が記した「奇跡の生還」も同時収録。
表紙カバーに使った晴れ渡った美しい山頂や登攀シーンなど、撮りおろしの写真も充実している。(実業之日本社・1680円)
実業之日本社ブルーガイドスキー編集部 尾日向梨沙

