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【逸品の美学】テプラ「PRO SR600」 収納重視の電子文具
10センチ四方のプラスチック製の箱。表面には文字も模様も見当たらない。
「一目見ただけでは何か全くわかりませんよね」。キングジム電子文具開発部の仲村知記さんの言葉に思わずうなずいた。“正体”がはっきりするのは、上部のふたを開けて液晶画面とキーボードを見てからだろう。
ラベル作製機でトップシェアを誇るテプラの新モデル「PRO SR600」は、意表を突いた立方体。キーボードの位置が高くて操作しにくそうに思えるが、硬めのプラスチックキーを採用しているため弱い力でも入力できる。予測入力機能も搭載し、タッチ数を極力抑えられるよう配慮した。
発売から今年でちょうど20年。平面的な形で持ち運び用の取っ手がついた従来のデザインを一新したのは、マンネリ化を防ぐためだけではないという。
「パソコンのように毎日使うものではない。使い終わったらすぐに収納するのが普通。でも、よりコンパクトでインテリアに自然に溶け込むデザインにすれば、常に手もとに置いてもらえますから」
しまって取り出す手間をなくすことで使用頻度がもっと増えれば…そんな狙いが込められているのだ。
電子辞書や電卓など、使わない時間の方が圧倒的に長い電子文具は数多い。収納のしやすさを重視してひたすらデッドスペースを生みにくいデザインを追求するか、いっそインテリアに溶け込む形状にして出しっぱなしにしてもらうことを狙うのか。どちらに軸足を置くかはメーカーの悩みどころかもしれない。
小さな立方体は、両方をうまく兼ね備えたデザインといえそうだ。(海老沢類)

