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【写眼】写ってしまう「何か」を撮る…笹岡啓子「PARK CITY」(2001年〜)

2008.9.1 08:03

 夜の公園を横切る2人乗り自転車。ストロボの光は手前にしか届いていない。だから、荷台に座る女性は見えてもペダルをこぐ男性の姿はほとんど確認できない。一見、失敗写真にさえ思える。

 「できるだけ写らない写真にしたかったんです」

 ギャラリー横の一室。掲載作について尋ねると、笹岡啓子(30)は不思議な言葉を口にした。

 生まれも育ちも広島。撮影場所の平和記念公園は普段の通り道だった。ところが、地元を離れて東京の大学に進学すると、広島という街の「見えにくさ」が気になり始めたという。

 「被爆地で平和運動のシンボルという皮相的なイメージを自分で着込んでしまい、本質が見えにくくなっている街。だから、写りにくい光量不足の状態でもモノクロプリントであっても、どうしても写ってしまう『何か』を撮りたいと思った」

 撮影者から積極的に歩み寄るのではなく、にじみ出てくるものを撮る−。そんな姿勢で撮影された約30点の展示作品は、暗い室内、夕暮れや夜の公園をとらえたものが多く、何を写したのか判別しにくい。しかし、それゆえに鑑賞者の能動性を刺激する。照明を落とした資料館内では親子連れが原爆の記録映画に見入り、公園内の道を通学途中とおぼしき女子高校生が歩いている。昭和20年の被爆直後で止まったままの時間と現在の時間。作品を見ていると、過去と現在という「2つの時間」が濃密に混ざり合う…そんな公園都市の姿が迫ってくるような気がした。

 次はどんな広島が現れてくるのだろう? 期待を胸に、笹岡は平和記念公園に通い続ける。(海老沢類)

                  ◇

 笹岡啓子写真展「PARK CITY」 東京・銀座の「銀座ニコンサロン」で、2日まで。午前10時〜午後7時(最終日は午後4時まで)。無休。入場無料。(電)03・5537・1469。2001年から今年にかけて広島平和記念公園で撮影したモノクロプリント約30点を展示。18日〜10月1日には、大阪ニコンサロンでも開催される。

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