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【ムツゴロウのいのち万華鏡】なぜメスを受け入れないのか (1/7ページ)
■シーン1
朝、普通に食事を済ました。気負いはなかった。客観的に見て、いのちがかかる作業をするのだが、緊張してはいなかった。
ぶらりと、チンパンジーのチャーリーのケージへと向かう。朝日が、草や木の間で踊っていた。文明による汚れがまったくないので、葉の1枚ずつが光とたわむれ、生を謳歌(おうか)していた。チャーリー。13歳のオス。年下のメスと、同じケージに入れられている。メスは、盛んに求愛するが、彼はそれを受け入れることが出来ない。
私は、いにしえのシルクロードを思い出している。亀茲(きじ)国の高貴な生まれ、クマラジュウ(鳩摩羅什、344〜413年、一説に350〜409年頃)。彼は若くして仏教を学び、清らかな人物だった。後にあの般若心経(はんにゃしんぎょう)などをサンスクリットから漢語に訳すのだが、あまりにも高名なため、中国の将軍に捕らえられて石牢にぶちこまれる。彼が守る清らかな戒律を憎んだ将軍は、若い美女を裸にし、同じ牢にほうりこんでしまう。






