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【人、瞬間(ひととき)】あのとき 草月流家元 勅使河原茜さん(48)(中) (1/2ページ)
15歳の夏、ハワイのホテルで泣いて過ごした。「ひとりぼっちでしたね」。日本から持ってきた西城秀樹のテープを聴きながら、ポロポロ涙をこぼした。
姉が留学していた米コネティカット州の高校に、自分も留学することになった。せっかくだからハワイ経由で行こう、と父、勅使河原宏が娘2人を南国の島に連れてきてくれた。楽しい家族旅行−のはずだったが、日を追うごとに、どんどん気持ちが沈んでいった。
「じつはアメリカになんか行きたくなかったんです。自分が言い出したことだったんですけど」。どういうことかというと…。
当時通っていた学校で、人間関係に疲れた。姉からは楽しい話ばっかり聞かされた。「私も行きたい」と言ってみたら、両親は賛成してくれた。トントン拍子で話が進む。そこまではよかったが、英会話の講師のせいで、アメリカが嫌いになってしまったという。「詳しくは言いませんけど、過度のスキンシップっていうんですか。『あれっ?』と思って…。でも、親には言えなくて」
憂鬱(ゆううつ)な気持ちを抱えたまま、日本を離れた。陽気な常夏の島で、孤独感が深まった。「父は勝手に遊んでいるし、姉も羽を伸ばして楽しそうで」。自分で決めたんだから、耐えるしかない。気づかれないように、2人が寝たあとにトイレで泣いた。何日目かの真夜中。父が起き出してきて「なにやってるんだ」と声をかけられた。

