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【写眼】オーヴェ・ワァリーン「魔力をもつ男のシルエット」(1985年)
□「私とイングマル・ベルイマンとの出会い」より
■影が引き出す魅力
偉大な人物は、顔の輪郭だけでも分かるということなのか。こはく色の光を背景に、シルエットだけが浮かび上がる。
“影”の主は、スウェーデンの映画監督で舞台演出家、イングマール・ベルイマンである。「不良少女モニカ」や「処女の泉」などの傑作で映画史に名を刻む巨匠。昨年7月30日に89年の生涯を閉じたが、世界で最も有名なスウェーデン人の一人であることに異論はないだろう。平成3(1991)年には第3回高松宮殿下記念世界文化賞(演劇・映像部門)を受賞しており日本にもファンは多い。
撮影者のオーヴェ・ワァリーン氏が、監督に初めて会ったのは1957年のこと。雑誌に載せるポートレートを撮るためだった。
作品は、それから約30年後、映画の一線を退いていたころの一枚だ。テレビドラマ「恩寵(おんちょう)を享(う)けた者」の撮影風景。「私はベルイマンが放つ魔力をとらえたいと思っていた。この写真を撮る機会を何日も待った」。表情は見えないのに、眺めていると、撮影に集中する監督の表情が次第に頭の中にかたどられていく。想像力を自然と引き出すような不思議な魅力、まさに魔力に触れた感覚にとらわれる。「見た人はこの写真をこよなく愛してくれます」
思えば、ヒッチコックやベルトルッチという偉大な映画人の肖像にも、なぜか同じような横顔のシルエットの作品があった。光と影。まるで写真自体が、映画というメディアの本質を象徴しているかのようだ。(堀晃和)
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オーヴェ・ワァリーン写真展「私とイングマル・ベルイマンとの出会い」 11点を展示。30日まで東京・六本木のスウェーデン大使館で。命日の30日には女優の川上麻衣子さんらによる朗読や映画上映などのメモリアルセレモニーやパーティーを大使館で開催。どれも入場無料。(電)03・5562・5062。

