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【試行私考 日本人解剖】第3章 ルーツ 縄文人か弥生人か (1/3ページ)
■目・指紋も類似、半島と西日本
≪渦状紋は渡来系?≫
日本人の身体には人により多様な特徴があるが、遺伝子レベルまで解明され、ルーツを厳密にたどれるものは少ない。そうした現状を理解した上で、現代に残る“縄文人”“弥生人”の姿に迫ってみたい。
汗腺の列が隆起して形成された指紋。世界に一つとして同じものはないが、大きく4タイプに分類できる。隆線が湾曲しながら横方向に流れる「弓状(きゅうじょう)紋」、隆線が片側から入ってUターンする「蹄状(ていじょう)紋」、隆線が同心円や渦巻き状をなす「渦状(かじょう)紋」。蹄状紋のうち、U字型が親指の方向に開く場合を「橈側(とうそく)蹄状紋」、小指の方向に開く場合を「尺側(しゃくそく)蹄状紋」という。
指紋のタイプは必ずしも親子で同じではない上に男女の性差も大きく、多くの遺伝子が複雑に関係しているとみられている。しかし、世界の各集団を比べると、どのタイプが多数を占めるかについて明確な違いが表れる。
岩本光雄・京大名誉教授は助教授だった昭和53年、戦前からの複数の調査報告をもとに4タイプの割合を集計した(以下、指紋の数値は男性)。その結果、特に渦状紋がアジア人で約50%を占め、ヨーロッパ人などでは約30%にとどまった。特にアムール川流域からモンゴルにいたる地域の渦状紋の割合は50〜52%、中国人は50・0%、朝鮮人は47・8%。一方、インドネシアのジャワ島では42・6%だった。渦状紋の割合がアジア北部に多いとすれば、「弥生以降に半島経由で日本列島に流入した渡来人の多くは渦状紋だった」という仮説も成り立つ。
日本人全体では約50%が尺側蹄状紋、約45%が渦状紋。西に向かうにしたがい渦状紋が多くなる傾向があり、九州北部で50%を超えた。岩本名誉教授は「西日本と大陸系住民、特に朝鮮人との間のいわば人種的つながり」を指摘した。
一方、北海道アイヌは尺側蹄状紋が約60%を占め、渦状紋が32・1%。アイヌの頭蓋骨(ずがいこつ)の形態は縄文人に近く、弥生以前の縄文人に尺側蹄状紋が多かった可能性がある。