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【試行私考 日本人解剖】第3章 ルーツ 二重構造は語る(2) (1/3ページ)

2008.8.4 08:49

 ■乾型耳あか遺伝子もつ渡来系

 ≪遺伝子を特定≫

 ヒトの耳あかには、2つのタイプがある。「乾いた耳あか(乾型)」と「湿った耳あか(湿型)」で、現代日本人の約8割は乾型だ。遺伝子の研究が進み、耳あかに秘められた日本人の「二重構造」とその背景が明らかになってきた。

 乾型は実は耳あかではなく、皮膚が乾燥してはがれたもの。本来の耳あかである湿型は、鼓膜より外の外耳道に粘液が分泌され、あかとしてたまってできる。

 新川詔夫・北海道医療大教授らは平成17年、耳あかの乾湿を決定する遺伝子「ABCC11」を特定。耳あかは本来は湿型だが、この遺伝子の変異が影響して乾型になることを突き止めた。ヒトはABCC11の型を両親から1つずつ、計2つを受け継ぐ。2つのうち変異型が1つ以下だと耳あかは湿型に、2つとも変異型だと乾型になる。

 新川教授が世界各地の民族集団ごとに、この変異型遺伝子の出現割合を算出したところ、アフリカやヨーロッパでは0〜20%と低かったのに対し、東アジアから東南アジアでは50%以上の高い値を示した。特に韓国や中国北部では100%に近く、日本では70〜80%だった=図1。

 変異型が東アジアに集中する理由について、新川教授は「アフリカから拡散した現生人類のうち、東アジアに到達した集団に遺伝子の突然変異が起きた可能性が高い」と分析する。

 ≪寒冷地適応≫

 突然変異はいつ、なぜ起きたのか。「約2万年前の寒冷地適応かもしれない」と新川教授は話す。

 人類は約2万3000年前、シベリアのバイカル湖周辺まで進出したとされる。当時は最終氷河期で、冬にはマイナス60度を下回った。「一度に汗をかきやすい湿型は、寒冷地では不利。じわじわと汗が出るように遺伝子が変異し、耳あかも乾型になった。何らかの原因で東アジアの人口が激減するなかで変異型遺伝子をもつ集団が偶然生き残り、子孫を残したため変異型が多い可能性もある」

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