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【断 櫻井秀勲】オヤ、マア、ヘエ
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いよいよ夏祭りと花火の、最高潮の時期がやってきた。私は東京・下町に生まれ育ったため、体中の血が騒ぐ。先月も福岡県に700年以上もつづく、博多祇園山笠を見に行った。いや今回は博多の友人の好意で、正式な法被(はっぴ)姿となり、地下足袋で街を歩いた。
来年はこの姿で、山と一緒に博多の街を駆け抜けたいと意欲を燃やしている。この山笠は、全国から300万人もの見物客がくるそうだが、なぜそんなに人気なのか? 私は「オヤ、マア、ヘエ」という驚き、おもしろさ、感嘆という3つの大原則があるからだと思う。危険を顧みない担ぎ手の勇気に、思わず手に汗を握る。大阪・岸和田のだんじりにも共通する。
東北に、これも400年以上つづくねぶたや竿灯(かんとう)があるが、目の前で見ると想像以上の迫力だ。全国各地の花火大会も、遠くから見たのでは「オヤ、マア」くらいだが、近くだと頭上からバラバラと火の粉が落ちてきて「ヘエ」と感動する。昭和20年3月9日夜の東京下町大空襲を思いだして、照明弾とともに落下する焼夷(しょうい)弾の束と重ね合わせてしまうが、だからこそ、大観衆がどよめくのだろう。
私は出版界の出身なので、最近の雑誌の無気力ぶりにがっかりしている一人だが、ともかく「オヤ、マア、ヘエ」と目を見はる雑誌にお目にかかったことがない。
政治の世界も同じで、福田首相が自画自賛した洞爺湖サミットショーも、国民はそっぽを向いた。かくなる上は、北京五輪で「オヤ、マア、ヘエ」の活躍ぶりで世界の度肝を抜いてもらうしかない。(評論家)