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【断 久坂部羊】後期高齢者医療制度批判への批判
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後期高齢者医療制度は、相変わらず評判が悪い。しかし、制度の全容を理解して批判している人はどれだけいるのか。あるいは、この制度のよい点と悪い点を峻別して、批判している意見はどれだけあるのか。ほとんどが、ただ雰囲気に乗せられ、感情論的に右へならえをしているのではないか。
そもそもこの制度は、必要があったからこそ作られたものだ。その必要性をすっかり忘れ、目先の不便や負担増だけで批判していいのだろうか。
確かに政府や厚生労働省は、説明も下手だし、準備も鈍(どん)くさかった。しかし、だからといって、元の老人保健制度に戻すという野党の案は、あまりに無責任だ。代替案を出すならまだしも、この制度に世間の反発が強いからといって、感情論でそれを煽(あお)り、票だけ集めようというのでは、日本の将来をどう考えているのかと問われても仕方ない。
この制度への反発を悪用しているのは、野党ばかりではない。マスコミも、視聴率と販売部数を上げるために、はじめから批判ありきの批判を繰り返している。できたものに文句をつけるのはたやすいことだ。公平な報道を目指すなら、制度の評価すべき点も説明すべきではないか。
医療界もこの制度に反発しているが、それも老人に味方するふりをして、実は受診者が減っては困るという本音が透けている。
高齢者医療の現実から目を逸(そ)らし、それぞれが手前勝手な批判にかまけていると、そのツケは必ず日本の医療全体に回ってくる。(医師・作家)