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プロが作る同人誌 少部数逆手に楽しく

2008.7.23 08:15
プロの書き手が編集する同人誌やミニコミ誌。凝ったレイアウトや装丁が目立つプロの書き手が編集する同人誌やミニコミ誌。凝ったレイアウトや装丁が目立つ

 プロの作家や批評家が編集した同人誌やミニコミ誌の発刊が相次いでいる。商業誌では収容しづらい長文を一挙掲載したり、凝った装丁で読者の目を楽しませたり。アマチュアが腕を競う従来の同人誌のイメージとは違い、少部数を逆手に取り、自由で肩肘張らない誌面作りを楽しむ姿が浮かび上がる。(海老沢類)

 6月末に第4号が出たミニコミ誌「エクス・ポ」は、一目では雑誌と判別しにくい。表紙は封筒。誌面はA4サイズの16ページに限定し、印刷コストを抑えた。その中に、ルビと見まがいそうな小さな活字がびっしり詰まっている。

 「能動的に読んでもらうために活字はぎりぎりまで小さくした。読みやすさばかり追い求めがちな現在の雑誌文化への問題提起でもある」と、編集長を務める批評家の佐々木敦さん(44)は説明する。

 隔月刊で価格は1000円。約4000部を刷り、一部の書店やギャラリーなどでも販売している。気鋭の社会学者、鈴木謙介さんのJポップ批評や、映画監督の青山真治さんが書くロックのエッセー…。音楽や文学、アートまで、扱う内容は多岐にわたる。

 佐々木さんは「書き手にとっては少部数で読者が見えやすい安心感がある。競争原理もうまく働き、テンションの高い原稿が集まっている」と手応えを語る。

 原稿のボリュームにこだわるのは、平成17年創刊のミニコミ誌「PLANETS」も同じ。最新の第4号の巻頭を飾る評論家・東浩紀さんへのインタビューは計6万字という破格の分量だ。芥川賞作家、川上未映子さんのインタビューにも通常のトップ記事並みのスペースを割いた。

 発売から数カ月で約1500部を完売。編集する批評家の宇野常寛さん(29)は「分量を削ったら他の商業誌と同じ。面白い話を何でも盛り込んだ、このボリュームだからこそ読者は買ってくれる」と強調する。

 作家の長嶋有、柴崎友香、福永信、画家の法貴信也、デザイナーの名久井直子の5氏が集う同人誌からは、雑誌作りを楽しむ雰囲気がにじみ出ている。

 限定1700部で、誌名は毎号変わる。最新の第2号「イルクーツク2」に載った「オールマイティのよろめき」は、作家の中原昌也、長嶋、柴崎の3氏が同じパソコンに向かって合作したユニークな短編だ。

 報酬は原稿の長さに関係なく一律なのに、執筆を希望するプロ作家は絶えないという。長嶋さんは「高校の学園祭のような高揚感を30歳過ぎても味わえる。商業誌から原稿料をもらって書くというルーティーンに安穏としていたくない気持ちもあるのでは」と話す。

 凝った造本や装丁も特徴だ。「同人誌にはバーコードの位置などの制約も少ない。次はガリ版刷りでも面白いかも」と、名久井さんは話す。

 印刷に凝らなければ、パソコンを使って誰もが低コストで雑誌を編集できる時代。プロが“参入”した新たな同人誌から、傑作が生まれる日も近いのかもしれない。

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プロの書き手が編集する同人誌やミニコミ誌。凝ったレイアウトや装丁が目立つ
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