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【すごいぞ日本】近未来職人(5)競争社会で生きる柔軟性 (1/2ページ)
□競争社会で生きる柔軟性
特殊撮影技術の2強はいま、熾烈(しれつ)な首位争いを続けている。ニュージーランドに本拠を置くウェタ・デジタルは2001年から公開が始まった「ロード・オブ・ザ・リング」3部作で、米西海岸のサンフランシスコにあるILM(インダストリアル・ライト&マジック)を抜き、世界一の特撮工房の座を確保した。怪物ゴラムの存在感が、従来のCGの水準を大きく超えるものだったからだ。
■イカの衝撃
ILMは06年、「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」でイカの怪物、デイヴィ・ジョーンズを登場させ、巻き返しに出た。
「あの光の反射技術や透明感。従来のCG技術では実現不可能です。またILMに抜かれた!とみんな闘志を燃やしていますよ」
ウェタのテクニカル・ディレクター、多田学(ただ・がく)さんはこう語る。イカの怪物1匹で世界の特撮地図は再び塗り替えられた。
多田さんから最近のハリウッドの傾向や映画の特殊撮影の技術論を取材しているうちに、話題は業界内の序列や競争の話に移っていった。ウェタの社員は約500人。常に競争社会に身を置いている。
「社員構成は半数が地元の出身で、残り2割が米国人、2割が英国人。そして残る1割がドイツ、イタリア、日本、シンガポール出身という感じですね」
多田さんは「ニュージーランドという国はなぜか、いきなり世界的に有名になる人が出てくる。そんなお国柄なんです」という。ウェタの創設者のピーター・ジャクソン監督はいわばその代表例。腕一本で世界的成功を獲得する。助け合って共同作業を進めるという雰囲気はない。勝者と敗者の境目がぼやけるからだ。
「担当が特化していて狭い。それが特徴です。映像のゴミ取りまで担当者が決まっている。徹底した分業体制に最初は驚きました。人間関係もドライですね」
ちなみに多田さんは1年ごとの契約。雇用形態もまたドライである。国籍も人種も言葉も関係ない。問われるのは実力だけ。そんな世界で頭角を現す日本人が少しずつ増えている。

