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【竹内薫の科学・時事放談】フェニックス 火星が水の惑星に「変身」 (1/2ページ)
アメリカの火星探査機「フェニックス」が火星の北極に着陸した。フェニックスは「不死鳥」の意味である。2001年に火星に送られる予定だったのにお蔵入りになった探査機が、再び蘇ったために付けられた名前だ。アメリカは98年から99年にかけ、立て続けに火星探査に失敗し、その後の計画の大幅な変更を余儀なくされたのである。
火星は人類の次なる有人飛行の目的地だ。考えてみると、人類はいまだ地球から38万キロの月までしか行ったことがない(今話題の国際宇宙ステーションなど地上400キロという近さだ。東京から名古屋くらいまでの距離を垂直に上がったにすぎない)。火星は、一番近いときでも地球から5500万キロも離れている。人類が月に行くには数日の旅で済むが、火星に行くには半年もかかってしまう。
フェニックスに話を戻そう。今回の火星探査の目的は2つある。第一に地下30センチ付近にあるとされる氷の採掘。第二に有機物があるかどうかを確かめること。この目的のために、フェニックスには地下1メートルまで掘ることのできるロボットアームが装備されている。
火星にかつて水があったことは、河川の跡などからも推測されていたが、これまで「水そのもの」は発見されていなかった。大昔は、暖かい水の惑星だった火星も、今では冷えてしまい、水は地下で氷の形で存在しているらしい。今回のフェニックスの着陸地点の映像を見ると、まるで地球の干魃(かんばつ)のように地面がひび割れている。このひびは、地中にある氷が寒暖差によって膨らんだり縮んだりしてできたと考えられている。実際、フェニックスの着陸時の噴射により、地下の氷が露出したように見える映像も公開されている。
この原稿が掲載されるころには、すでに水の存在は科学的な事実になっているかもしれない。だが、もう一つの目的である「有機物」は、もし見つかれば、さらなるビッグニュースになるだろう。生命の素(もと)となる物質が見つかれば、かつて火星に生命が存在していた可能性が出てくるからだ。

