- ニューストップ
- 北京オリンピック特集
- 総合
- 記事詳細
ニュース:総合RSS feed
【奥運(オリンピック).com】(50)芸術家の良心
このニュースのトピックス:五輪とメディア
少女の歌声の「口パク事件」や花火のコンピューターグラフィックス(CG)など「過剰演出」が欧米から批判されている北京五輪開幕式は、中国ネットユーザーの評判も至極悪い。「芸術の核心は“真善美”だが、その真の部分を欠いてなにが芸術だ。張芸謀の審美眼に強烈に疑問を呈す」と、矛先が総合演出の張芸謀監督に向くものも少なくない。
しかし、こういった過剰演出を指示したのは某政治局常務委員で、演出スタッフが「国家利益」を理由に口をはさむ党に相当悩まされた、ということは、すでに漏れ伝えられている。
「口パク事件」を最初に暴露したのは、北京人民ラジオの取材を受けた開幕式音響監督の陳其鋼氏で、彼がこの秘密を漏らしたのは芸術家の良心からだ、と言われている。最近の「南方週末」紙でも“歴史絵巻演出”を担当した陳丹青氏が党から演出の変更を命じられたことを暴露した。
中国共産党は過去も今も常に芸術を利用してきた。国を代表する巨匠が党の広告塔の役割を担わされるのは当然で五輪開幕式が政治ショーとなるのも致し方ない。しかし、そういう政治の制約のなかで、芸術家も自らの良心を守ろうとするものではないか。
だから、やたら壮大で幻想的なショーをぶちあげた後にせこいヤラセが相次いで暴露されたのも、張芸謀流の皮肉な演出なのか?と一瞬思った。少なくとも、ニセモノ造りにかけては世界一の中国の虚飾に満ちた五輪の本質を見事に表現していると思う。
(福島香織)




