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「ヒールになりきって強くなった」…柔道男子100キロ級超「金」の石井 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:石井慧
前に出ないことを、誰にも恥じることはない。有効1つ分のリードで、残り10秒。石井は徹底的に相手の技を警戒し、守った。日本応援団の歓声の中、デジタル時計が「0」を示す。最終日を締める金メダル。「ヤッター!」。畳の上で叫んだ丸刈りの若武者は、声を上げ、感情のおもむくままに頬を濡らした。
「実感は湧かないです。最後は完全に、耐えて結果を狙いました。それが人間じゃないですか。ラスト10秒で逆転されたら、笑いものなので」
6階級でメダル1つと、誇りが泥にまみれた男子柔道。勝たなければならない。重圧の中、五輪初出場の男は、すべて一本勝ちで決勝まではい上がった。相手は、返し技巧者のタングリエフ。大外刈り、大外刈りと足技で仕掛け、相手に指導が2つ。有効1つ分の“貯金”を作り、最後まで無尽蔵のスタミナで動き、相手の攻めを封じた。
大阪・茨木市で生まれたときから右利き。幼稚園のとき、父・義彦さん(50)に「山下(泰裕)も小川(直也)も、世界を制した選手は左なんや」と左組みへ矯正された。5歳から“世界”を意識し、小学校の卒業文集に「柔道で五輪に出たい」と記入。夢はちょうど10年後、北京の表彰台の上でまぶしく輝く“首飾り”に変わった。

