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【奥運(オリンピック).com】(38)張りぼての街
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日本人の友人に、五輪前の北京の街を案内した。北京の和平門界隈(かいわい)や南鑼鼓巷(なんらここう)などにつれていくと、「映画のセットみたい」と喜んでいた。和平門界隈で表通りの目に見える部分は、灰色のブロックを張り、北京情緒あふれる街並みをつくり上げてあるのだが、どこか安っぽい。南鑼鼓巷は胡同(フートン、路地裏)の街並みに、欧米人好みの雑貨店や小じゃれたカフェが入り、一風変わった観光地となっているが、当然、本物の胡同とは違う。
五輪の再開発が間に合わなかった前門地区は、胡同の絵や写真を貼り付けた「書き割り」で取り壊しかけの家屋を隠している。夜はネオンに彩られ神秘的な夜景を演出する高層ビル「国貿3期」は、中身はまだ骨組み程度しかできていない。中国中央テレビの新社屋もしかり。みな外壁だけの張りぼてだ。
タクシー運転手は1日から統一した黄色のシャツにネクタイ姿で、慣れない英語を使っている。映画のエキストラみたいね、と話しかけると、ネクタイをゆるめて「たまらないよ」とため息をついていた。
胡錦濤・国家主席は北京五輪のための莫大な投資について、インフラ整備や環境改善などの大きな遺産を得たとして「価値あり」と評価したが、どうもその成果は表面的なものばかりのような気がする。短期間の観光客はそれで十分満足するとしても、「五輪で北京は変わる」と期待していた北京在住の外国人たちからは、ちょっと肩すかし、と残念がる声が多い。(福島香織)

