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【奥運(オリンピック).com】(33)国民を拉致する国
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オックスフォード帰りの著名人権活動家、候文卓さん(38)と久しぶりに会った。彼女は5月30日から18日間、北京市郊外の秦城監獄に入れられ、出てきた今も軟禁状態におかれていた。「生きて会えてよかったねぇ」。冗談まじりだが、ジャンヌ・ダルクのように勇敢だった彼女の弱々しい笑顔に胸が痛んだ。
彼女は米国に亡命している魏京生氏や王軍濤氏ら民主活動家らと連絡を取り合い、法輪功迫害真相調査連盟が中国の人権改善を訴えるため五輪聖火リレーに対抗して行った「人権聖火リレー」を支援していた。それが、中国の「敵対勢力」への協力とみなされたのだった。でも、彼女の本質は決して反政府的ではなく、矛盾を話し合いで解決しようと努力する人だ。
しかし「国家安全省から話し合いをしよう、と市内のカフェに呼び出されたところをいきなり黒布をかぶせられ、拉致された」という。「日光の入らぬ密室で、背もたれのないベンチに座らされ、当初は寝ることも許されずに尋問が続けられた」。18日間にわたる精神的拷問を受けたあと再び黒い布を頭にかぶせられ地下鉄駅の近くで釈放された。
その間、家族も友人も彼女がどこにいたか知らず、あのまま殺されても誰も分からなかった。「この国は国民をだまして拉致するのよ」。中国は五輪招致のとき国際社会に人権状況の改善を約束したが、これが現実だ。外国人がなかなか知ることのできない五輪の影である。 (福島香織)


