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【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】(66)「日記」で見つけたすれ違い (1/2ページ)
少年院へ動向視察に行くと、まず教育記録全部を見せてもらうことにしていた。最初のころ「日記」が省かれていたが、催促したら持ってきてくれるようになった。
「人の話を最後まで聞けない」という問題を抱えた少年がいた。途中で相手の話をさえぎって割り込んでしまうため、相手の真意を誤解し、それが原因となってさまざまなトラブルを起こしていた。
日記を読むと、担任の教官が毎週毎週、緻密(ちみつ)な指導をしていた。本人が失敗した具体例をあげて、「あと3分だけ我慢したら、相手の話が最後まで聞けるのに」と指摘していた。
本人は「分かりました」と返答していたが、「相手変われど主変わらず」で、もう3カ月も同じ趣旨のやり取りが繰り返されていて、教官がイライラし始めていることがありありと分かった。
面接でこの点を聞いてみると、「相手の話が普通の長さだと問題なくコミニケーションができているが、あまりに長過ぎると途中で割り込んでしまう。だから相手の方をしかって手短に意見を言うスキルを勉強させてほしい」と不満げだ。
さらに聞くと「ほとんどの会話はスムーズに行っている。週に1回くらい、相手の話があまりにもくど過ぎて、誰でも我慢しきれないような場面に出合う。これが僕の不幸のもとだ。以前の僕だったら途中でキレて相手を張っ倒していたと思う。今は言葉で割り込むだけだから随分成長している。しかし、担任が目ざとく見つけて、日記でネチネチと因縁を付ける。おまけに、意欲不足と決めつけられて最近仮退院が1週間延期にされた。僕は教官からイジメられている被害者です。裁判官、助けてください」とまで言う。
君の不満は教官に伝わっているのかと尋ねると、担任との面談が月に1回しかなくて、他に話題が多いので、このことはまだ話すことができていないと言う。
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