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【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】(49)少年司法 非公開の闇 (1/2ページ)
最近はかなり変わりつつあるが10年前、少年事件では、捜査機関も家裁調査官も、保護処分の執行機関も、少年側に積極的に被害者対応を勧めていなかった。
その結果、成人の刑事事件ではほとんどの被害者は加害者から積極的な提示を受けて示談ができているのに、少年事件の被害者のほとんどは、少年本人やその親から謝罪や弁償の申し出がなく、うやむやのままで済まされていた。
家裁調査官たちは、そのどこが問題なのかさっぱり分からないという顔つきだった。どうやら調査官たちは、成人の刑事司法の世界では加害者の側から能動的・積極的に示談を申し入れていること自体をよく知らなかったようだ。そして、わが国の少年司法は、制度もその運用もきわめて優秀で、子供の間に必要かつ十分な対応をしているため、成人の犯罪も世界一少なく、とびぬけて治安のよい「奇跡の国・ジャパン」と呼ばれている。国際的な学会ではいつも「日本の少年司法の大成功の秘密は何か?」と質問攻めにあって、うれしい悲鳴をあげている−と説明するのだった。
また、裁判官は調査官の処遇意見に大体従うので、成功の秘密は「日本には家裁調査官の制度があり、その調査官たちが有能で頑張っているからだ」と言いたそうで、のんきそのものだった。
しかし、私は背筋が寒くなった。少年審判は非公開である。経過も結果も分からない。決定された処遇の効果も分からない。何も分からせないでいて、「お上のすることだから信用せよ」とうそぶいているようなものである。しかし情報公開社会となり、分かりやすく説明されないものは信用されなくなってきている。少年司法の世界は暗闇の底に沈んでおり、社会からは全く見えなかったから、信用されているわけがないと思われた。
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