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【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】(48)被害者忘れがちな少年司法 (2/2ページ)
被害者には、損害の賠償を求める権利があるが、その権利を行使するかどうか、いつどのような方法で行使するかは被害者の自由である。従って、加害者は被害者からの請求を待って賠償すれば足りる。
だから特に必要な場合、例えば被害者の背後に暴力団がついていて、先手を打って早く解決させておかないと将来多額の金銭を恐喝される心配があり、少年の健全育成の妨げになる恐れが認められるときなどは、弁護士会に相談に行かせ、紹介された弁護士に示談交渉を委任するよう、積極的に勧める。
その弁護士から問い合わせがあれば、裁判官の許可をもらうまでもなく、調査官権限で被害者の連絡先を教える。本件のように、普通の家庭の主婦が被害者という場合は、共犯の成人が示談をした(そして起訴猶予になった)ことが分かっていても、調査官が少年の親に積極的に示談を持ちかけないのは、ごく普通の取り扱いである。
では、保護処分(主なものは少年院送致と保護観察)に付した場合は、その執行中に関係者(法務教官、保護観察官、保護司)が少年側に示談するよう働きかけるのだろうか。いろいろ探ってみたが、どうも家裁調査官の対応と同様に、消極的に思えた。結局、少年事件では家裁の裁判官が自分で少年側に示談を勧めない限り、多くのケースで謝罪も弁償もなされないままになってしまっていることがうかがえた。
そこで私は決断した。審判言い渡しの際、母親に被害者の携帯電話の番号を教え、すぐに被害者に電話して謝罪と弁償の機会を与えて頂き、その経過を私に報告してもらうことにした。(弁護士、元家裁判事 井垣康弘)
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