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【君たちのために 元家裁判事のつぶやき】(45)司法文化と実定法のギャップ (2/2ページ)
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そういう社会なので、成人の刑事事件を担当する検察官や裁判官は、「示談」の成否にものすごく大きな関心を持つ。端的に言うと、「示談をして来なさい」とはっきり言葉で言うか、さもなくば態度で示す。
そのため、金銭を調達する能力がある限り、すべての被疑者・被告人・家族・弁護人は「示談」交渉に駆けずり回る。その結果、それが可能なケースでは、処分の決定前にほとんどすべて「示談」がなされているとみられており、わが国の成人刑事司法は「著しく関係修復的司法である」と言われているのである。
しかも、そのように甘い処分にもかかわらず、わが国の治安は諸外国に比べて段違いに良好であり、世界中から不思議がられている。
犯罪が行われた場合、加害者の側から率先して「謝罪と弁償」の提供があってしかるべきであるとの国民一般の常識(司法文化)は、成人刑事手続の実際が100年掛けて生み育ててきたものであろう。
しかし実定法では、「謝罪と弁償」は、被害者の側から能動的・積極的に権利を行使すべきものと制度設計されており、しかも、もし3年間その権利の行使に着手しなければ時効で消滅するとされている。この司法文化と実定法の仕組みのギャップが、少年司法においてあらわになっている。(弁護士、元家裁判事 井垣康弘)
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