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【法廷から】談合で裁かれる元敏腕刑事と入浴介護 (1/3ページ)
外にセミの鳴く声が響く真夏の法廷に、髪を短くスポーツ刈りにした男が濃紺スーツ姿で入廷した。裁判長に向かって直立不動の姿勢で立ち、両手は指の先までピンと伸ばしている。
男は、大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事で談合にかかわり、ゼネコンから1000万円のわいろを受け取ったとして競売入札妨害(談合)と収賄の罪に問われた元大阪府警捜査2課警部補、平原幸史郎被告(48)。
今年1月、大阪地裁で懲役2年6月、追徴金1000万円の実刑判決を受けて控訴。「捜査2課のエース」といわれた敏腕刑事は職業を献身的な介護ヘルパーに変えて情状酌量を求め、談合についても「私は利用されただけ」と訴えた。
しかし23日、大阪高裁で下された判決は再び実刑。平原被告の胸中をよぎったものは−。
19日さかのぼった今月4日。同じ法廷に平原被告の姿があった。
控訴審第1回公判。この日の法廷に、弁護側はいくつかの「新証拠」を提出した。その中に、平原被告の診断書があった。
弁護人「あなたは今、頸椎(けいつい)症を患ってるのかな」
平原被告「はい」
弁護人「どうして」
平原被告「入浴介護で障害者の方をお風呂に抱きかかえて連れて行く仕事をしているんですが、思った以上の重さで、背中の肉離れを起こしてしまいました」
弁護人「無理な体勢になって、背中を痛めたと」
平原被告「はい。先週そうなってしまい、今週は体を休めるようにと病院から言われています」
平原被告は昨年、今回の事件で大阪地検特捜部に逮捕、起訴され、府警を懲戒免職となった後、弁護人の紹介で脳性麻痺や知的障害者の人たちの介護の仕事を始めていた。
平原被告「これからは人のために生涯をささげたい。警察の頃の私の仕事は、頭で考えて口で指示するものでした。今は体の不自由な方の手足になって、直接喜ばれて感謝されていることを実感しています」