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【視点】自白偏重捜査に警鐘 布川事件

2008.7.14 11:13
このニュースのトピックス迫る裁判員制度
東京高裁が再審開始を決定し、笑顔を見せる杉山卓男さん(中央)と桜井昌司さん(左)=14日午前10時5分、東京高裁前(大西正純撮影)東京高裁が再審開始を決定し、笑顔を見せる杉山卓男さん(中央)と桜井昌司さん(左)=14日午前10時5分、東京高裁前(大西正純撮影)

 「布川事件」で再審開始を認めた14日の東京高裁決定は、弁護側の新証拠を採用し、「自白の信用性は否定すべき」と判断。改めて自白偏重捜査に警鐘を鳴らすものとなった。

 布川事件では、指紋や遺留品など犯行を裏付ける物的証拠がなく、自白が唯一の直接証拠だった。弁護側は、第2次再審請求で約140点の新証拠を提出。主に自白の任意性と信用性が争われた。

 この中に、無期懲役刑が確定した元服役囚、桜井昌司さん(61)が獄中で書いた日記もあった。大学ノートで17冊にも及ぶ日記で、桜井さんは捜査員に自白を迫られていく様子を克明に記録していた。

 捜査当局には「自白は証拠の王様」との考えが根強い。特に昭和20〜30年代には、いくら証拠を積み重ねても自白がなければ有罪を勝ち取れないとして、まずは自白を引き出そうとする捜査も少なくなかったという。その結果、再審請求の多くで自白の強要の有無が争われてきた。

 しかし、再審の門戸を広げた最高裁の「白鳥決定」(昭和50年)以降、再審無罪が相次いだことで、こうした自白偏重の捜査の在り方に批判が高まった。「自白に頼らず、客観的な証拠を積み重ねていくべきという考え方が主流になった」とある法曹関係者は話す。

 来年5月から始まる裁判員制度でも、一般市民から選出される裁判員が自白の任意性を判断することは難しいため、客観的証拠による事実認定を重視する動きが強まっている。取り調べ状況を録画する動きも進むなど、捜査の在り方も大きく変わった。

 しかし、近年になっても、鹿児島県議選での公選法違反事件や富山県氷見市の強姦事件などで、依然として自白偏重捜査が根強く残っていることが浮き彫りになった。布川事件は41年前の事件ではあるが、今回の決定は改めて、捜査当局にこうした自白偏重捜査からの脱却を求めたといえる。(福田哲士)

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東京高裁が再審開始を決定し、笑顔を見せる杉山卓男さん(中央)と桜井昌司さん(左)=14日午前10時5分、東京高裁前(大西正純撮影)
東京高裁が再審開始を決定、握手を交わす杉山卓男さん(左)と桜井昌司さん=14日午前10時10分、東京高裁前(大西正純撮影)
東京高裁が再審開始を決定し、笑顔を見せる杉山卓男さん=14日午前10時5分、東京高裁前(大西正純撮影)
東京高裁が再審開始を決定し、笑顔を見せる桜井昌司さん=14日午前10時5分、東京高裁前(大西正純撮影)
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