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【主張】無差別殺傷判決 責任能力の認定は当然だ

2008.7.12 03:25
このニュースのトピックス刑罰

 事件の残虐性、犠牲者の数などを判断すると、死刑判決は当然の結果であろう。

 平成11年9月、JR下関駅で5人死亡、10人が重軽傷を負った通り魔事件の上告審で最高裁第2小法廷は、死刑判決を言い渡した1・2審判決を支持した。被告の死刑が確定する。

 この事件も犯行当時の被告の刑事責任能力の有無が最大の争点となっていた。

 1審の山口地裁下関支部で被告側は、精神鑑定をもとに「犯行当時、心神喪失状態だった」と無罪を主張、死刑求刑の検察側と責任能力について激しく争った。判決はほぼ検察側主張を認め、責任能力を明確に認定した。被告側が控訴し、広島高裁も1審判決通り、死刑判決を支持、控訴を棄却したため、最高裁で争われていた。

 下関駅の事件は、先の東京・秋葉原の無差別殺傷事件と事件の態様や動機面などで共通点が多く見られるだけに、秋葉原事件の裁判にも影響を与えよう。

 秋葉原の事件は、これまでの捜査当局の調べから、容疑者は日曜日の歩行者天国にトラックで突入し、ナイフで通行人を襲った。

 下関駅事件も判決によると、被告は自己の将来に失望して自暴自棄となり、このような状況に陥れたのは社会や両親らで、これに衝撃を与えるとして事件を計画した。被告は人が多く集まる場所を選び、乗用車でJR下関駅構内に突入、歩行者をはね飛ばし、さらに降車後、包丁で駅の階段やホームにいた人を刺したり、切り付けたりした。

 最高裁は、「周到な準備の下、確定的殺意に基づいた犯行で酌量の余地はない」と指摘、責任能力を認めた。当然の判断である。

 残忍で衝撃的な事件は、必ずと言っていいほど、被告の犯行時の責任能力の有無をめぐる検察、弁護側の争いとなる。

 それだけに、来年5月から始まる「裁判員制度」に向け検察、弁護側とも、責任能力の立証は、素人の裁判員が判断しやすい材料をどれだけ示せるかにかかっている、といっても過言ではない。

 これまでの裁判は、精神鑑定の解釈をめぐり、延々と論争が展開され、これが裁判長期化の大きな要因とされた。

 裁判員裁判がスタートすれば、このような審理の進め方は許されなくなる。法曹関係者のさらなる努力が不可欠だ。

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