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【産経抄】10月3日

2008.10.3 03:36
このニュースのトピックス少年犯罪

 「大きくなったら/ぼくは博士になりたい/そしてドラえもんに出てくるような/タイムマシンをつくる」。7歳の少年が書いた「ぼくの夢」という詩だ。少年の父親は、過労が原因とみられる鬱病(うつびょう)に陥り、自らの命を絶った。

 ▼詩は続く。「ぼくはタイムマシンにのって/お父さんの死んでしまう/まえの日に行く/そして/『仕事に行ったらあかん』て/いうんや」。平成10年以来、日本では、自殺者が毎年3万人を超えている。そんな現状を作家の五木寛之さんは、「心の内戦」と呼んでいた。

 ▼心の病との戦いの最中に、日本社会は、新たな脅威にさらされている。「生きていくのが嫌になった」とうそぶく殺人者によるむき出しの暴力だ。1日未明、大阪市内で起きた放火殺人事件は、過去最悪の15人の犠牲者を出した。東京・秋葉原や茨城県土浦市で起きた無差別殺人事件の衝撃が、まださめやらないというのに。

 ▼小川和弘容疑者(46)は、多額の借金を抱え、健康の不安も訴えていた。突発的な犯行の疑いが強まり、政治的な背景はなさそうだが、事件は、内戦状態の国には付きもののテロ事件を連想させる。犯人と面識のない多くの人たちが、理不尽に命を奪われる不条理さが共通しているからだ。

 ▼現場の個室ビデオ店は、深夜には、安価な宿泊所として、中高年のサラリーマンを中心ににぎわっていた。犠牲者の一人は、経営していた会社が倒産、介護の仕事をしながら再起を図り、生活費の節約のために利用していたという。

 ▼警察には、「うちの家族では」という問い合わせが相次いだ。タイムマシンに乗って、火事が起こる前のお父さんに会って、こう叫びたい子供もいるはずだ。「その店に泊まったらあかん」

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