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【産経抄】9月12日
このニュースのトピックス:不祥事
「ウォール街の警察」とも呼ばれる証券取引委員会(SEC)が設立されたのは、1934年のことだ。1920年代の米国の株式ブームは、29年の「暗黒の木曜日」のニューヨーク株大暴落という結末を迎える。
▼その間に証券業界で、数々の不正が行われていたことが、発覚したからだ。フランクリン・ルーズベルト大統領から、SECの初代委員長に任命されたのが、後のケネディ大統領の父親、ジョセフ・ケネディだった。
▼もっとも、この人事には反発が強かった。ケネディこそ、インサイダー取引など汚い手口を駆使して、大富豪に成り上がった人物だからだ。大統領は、こう言い放ったという。「オオカミを捕らえるために、オオカミを使う。彼なら取引のからくりを何でも知っている」。
▼農水省から、農薬やカビ毒に汚染された事故米を安く仕入れて、食用と偽り転売していた問題は、収拾のめどがつかない泥沼の様相を呈している。事故米混入の疑いが出て、焼酎、日本酒、せんべい、和菓子など、自社製品の撤去を余儀なくされた関係者の怒りは想像に余りある。
▼巨額の利ざやを稼いでいた業者の強欲にはもちろんだが、不正を見抜けなかった農水省のずさんな検査にもあきれてしまう。最初に不正が見つかった「三笠フーズ」への検査は、過去5年間で計96回にも及ぶ。といっても、抜き打ちではなく、事前通告だったから、偽装を手助けしたようなものだ。
▼「オオカミ」になれ、とはいわない。もともと、農水省にとっても、事故米は、保管にも、焼却にもコストがかかるやっかいもの。業者が喜んで引き取っていくのには、何か理由があるはずだ。こんな想像力が働いていれば、被害はもっと小さくてすんだのではないか。