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【産経抄】9月7日

2008.9.7 02:31
このニュースのトピックス産経抄

 決して待っているわけではないが、台風がやってこない。例年なら30個近くが南の海で生まれ、うち4〜5個が日本に上陸するが、今年は発生がまだ12個で、上陸はゼロである。代わりに雷雨が大暴れしているが、ちょっと不気味な気もする。

 ▼本来、9月は台風が多い。中でも「二百十日」は昔から最も危険な日とされてきた。立春から210日目のことだ。今年は閏(うるう)年のため8月31日だったが、普通の年は9月1日である。夏目漱石の『二百十日』でもこの日、風と雨の中を阿蘇山に登る場面が描かれている。

 ▼もっとも倉嶋厚さんの『季節おもしろ事典』によれば、近年の統計で大型台風が来襲しやすいのは、9月中旬や下旬なのだそうだ。それよりも、二百十日のころはイネの開花期に当たる。だから台風が来るのを「農家ではとくに警戒したのであろう」という。

 ▼今は早場米などもあって、収穫時期は必ずしも一致しない。それでも、コメ作りがいかに自然現象、特に台風との闘いだったかを示している。「秋の彼岸は農家の厄日」ということわざもあるそうだ。ところがそのコメまでが「悪徳商法」の材料になってしまった。

 ▼国が買い入れたコメにカビがはえたり、農薬が検出されたりすると「事故米穀」として工業用に売られる。当然、普通のコメより安いが、それを大阪の業者が買い取り焼酎やせんべい用に転売したという。今のところ被害は出ていないとはいえ、悪質きわまりないやり方だ。

 ▼「事故米穀」は中国産やベトナム産などの輸入米である。だが日本人の生活に密着したコメであることに変わりはない。そのコメの大切さや、コメ作りの苦労をもう少し学んでいれば、こんなことは起きなかったという気がしてならない。

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