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【主張】若ノ鵬逮捕 因習を排し改革を目指せ
不祥事の連鎖が止まらない大相撲界で、今度はロシア出身の幕内力士、若ノ鵬が大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕された。監督官庁として文部科学省の鈴木恒夫大臣が「前代未聞、遺憾の極み」と批判したが、現役の関取(十両以上)から逮捕者が出たのは初めてという深刻な事態は、相撲ファンを裏切る背信行為と断罪されても仕方がない。
日本相撲協会は、きょう21日に緊急理事会を開き、若ノ鵬の解雇と、師匠の間垣親方(元横綱二代目若乃花)の理事降格について検討する。関係者を処分するのは当然だが、北の湖理事長をはじめ幹部の責任も重大だ。
最近の相撲界は、朝青龍をめぐる一連の騒動、時津風部屋の傷害致死事件とトラブル続きで、そのつど、北の湖理事長は「弟子の指導は師匠の責任」と、直接関与を避ける発言を繰り返してきた。相撲は他のスポーツに比べ、より濃密な師弟関係によって成り立っているとはいえ、協会幹部の傍観者的な態度と不祥事の連鎖が無関係とは言いがたい。
若ノ鵬は勝負に負けると、悔しさを支度部屋の風呂の棚を壊すことで晴らそうとしたり、巡業の集合時間に遅刻したり、独身者は部屋住みが原則なのに、マンションで一人暮らしするなど、わがままな行動を繰り返してきた。
外国人力士は豊かな素質とハングリー精神で出世が早い。その一方で、日本人の若者でさえ戸惑う相撲界の慣習にとけ込むのは難しく、孤独感にさいなまれるのかもしれない。
20歳の弟子を支えきれなかった間垣親方の指導力不足を指摘せざるを得ないが、協会としても打つ手があったのではないか。「いつかこうなるのではと思っていた」(相撲関係者)というのなら、なぜ注意しなかったのか。
現在、入門した新弟子を教育する相撲教習所がある。実技のほか相撲の歴史や書道などを教えている。それにとどまらず、一般企業や司法関係者らを招き社会人としての心構えも教えて、視野を広げることが肝要であろう。
相撲界には「われわれにはわれわれだけの常識がある」という意識がはびこっている。独善的な考え方や驕(おご)りを捨て去らないと、時代から取り残され、ファンからも見放されるだろう。
相撲協会が改革に向けて、一歩踏み出すことを期待したい。